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2006年8月13日 (日)

壊れる消費市場

昨年は、2極化をテーマにした本がたくさん出ました。また、今年は、国会でも格差問題が取り上げられるようになりました。

いろいろなデータからは、しっかりとした2極化はわかりません。

しかしながら、確かに底辺層は目につくようになりましたし、テレビでも特集が組まれたりします。

どこの会社でも同じだとは思いますが、人件費を変動化させることが、さも正しい経営でもあるかのように正社員を減らし、派遣社員など非正規社員を増やしてきました。わが社でも、バブル崩壊後、いち早く新規採用を控え、その分、派遣社員を増やしました。この戦略はたぶん成功だったと思いますが、どの会社も同じことをやりだすと、人件費が抑えられコスト削減にはなっても、マクロで考えると、家計部門へ流れるお金が少なくなり、消費市場が縮小することになります。

各企業にとって正しい選択が、全体で見ると結局、市場を失わせていることになります。合成の誤謬です。

最近、気になっているのが家電業界です。薄型テレビが世界的に流行で、各社の競争も激しく、製品価格がどんどん下がってきました。

テレビで見たんだと思いますが、シャープの亀山工場では、働いている多くの人は、派遣会社からの時給働きの人々で、24時間3交代勤務をしているそうです。アパートを与えられて、バスで工場との間を往復させられます。仕事は肉体的に相当ハードなようです。しかし、いくら頑張ったところで所詮アルバイト、それで生計が立てられるような賃金はもらえません。

ちょっと考えてみてください。世界に向けて液晶テレビを作っている工場で働いている人々は、低賃金で液晶テレビを買うどころか、年金も払えないような労働者です。シャープだけではなく、どこの会社も似たり寄ったりだと思います。

ただ、シャープが気になったのは、日本市場では強いのですが、アメリカ市場やヨーロッパ市場では、ソニーやサムスンより弱いということです。日本でできる限りコストカットして、ヨーロッパやアメリカで、今後勝てないことがあればシャープの液晶市場はどうなるのでしょうか。自国市場で、労働コストを下げてしまい、肝心の自国での消費市場を壊してしまっているということになります。

昔、ヘンリー・フォードは、フォード工場で働く労働者でも買える車を作ると言って、規格大量生産を始めました。生産側での利益とともに、消費者の利益も考えています。

富裕層も多くはなりましたが、大企業がニッチ市場だけで生き残っていくわけにはいきません。

また、最近は労働者の賃金がやっと上がってきましたが、経済の全体の伸びよりも低くなっています。(当然、賃金は遅行指標になっているくらいなので仕方ありませんが)

しかし、経営者も、労働者は「家に帰れば消費者」であることを忘れないように経営を行ってほしいものです。(ヒトはコストではなく、資源・資産だということを忘れないで)

「天に唾する」ような経営はやめてもらいたいです。

Book シャープの「オンリーワン経営」―“自前主義”を貫く液晶王国の秘密

著者:舘沢 貢次
販売元:オーエス出版
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