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2006年8月17日 (木)

数学的思考法

「数学的思考法」 芳沢光雄 講談社新書

昔(昔と言っても1999年ですが)、「分数ができない大学生」(東洋経済新報)が話題になりましたが、そのときの執筆者のお一人が芳沢氏です。
本書は数学の啓蒙書であり、作者も、いま日本人に求められている最も重要な能力は「粘り強く考えること」と「論理的に考えること」であるとし、教育に限らず、数学的思考が大切と言っています。
本書の対象は、小中学生の子供を持つ親だけでなく、広くビジネスマンを対象にした話になっており、数学的な考え方を使った「論理的な説明」とはどうすればできるのかについてまで解説しています。(しかしハウツー本とは違いますので念のため)
ただし、昨今のゆとり教育における算数・数学の内容について、鋭い指摘を随所でしており、文科省の審議員や大学での講義を通じての具体的な例から、作者の数学への思いが述べられています。
最近は世界的に見ても、日本の数学力が劣っているという調査もありますし、IT業界では、世界のソフトウェア企業ランキング上位100社のうち、半数近くがインド企業であるとことから、インドでの教育が日本と違うことに触れています。ただし、インドでは九九ではなく、一九×一九をやっているからではなく、もっと深く突っ込んでインドの教育体系が各学年で体系的に数学的思考が身につくようになっていることを指摘しています。単に計算ができるだけで数学が強くなったり、思考力がつくことはないとのことです。
また、数学的思考で、合理的に論理的にすいすい物事を解いていけるのではなく、
その根底には、多くの失敗にめげず困難にぶち当たっても「必ずできる」と信じる気持ちが大切だと説きます。(私の小学生の子供も、すぐに解き方を教えてもらおうとして、じっくりと自分の力で解こうとしませんね)
今の学生は、ものの解法を、その意味を理解せずに「暗記」によって乗り切ろうとするため、問題を少しひねられると手も足も出なくなり、応用力が身についていないそうです。
ビジネス向きの内容としては、数学的思考のヒントとして、課題や原因を見つける場合、通常は複雑に事象が交わっており、一つの要因に決め付けることなく、多変数的な発想をしたり、多変数をどうまとめていくかについて述べています。
その他、データの取り扱い方や論理的な説明の仕方なども勉強になります。

最近は数学本が流行りですが、気軽に読める新書本です。

数学的思考法―説明力を鍛えるヒント  講談社現代新書 Book 数学的思考法―説明力を鍛えるヒント 講談社現代新書

著者:芳沢 光雄
販売元:講談社
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