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2006年9月10日 (日)

仕事力

「仕事力」 朝日新聞社

私事だが、ちょっと仕事で落ち込んだというか、現在やっている仕事が自分にあっていて評価されるものなのか悩んでいるときに本書に出会った。皆さんそれぞれに仕事への取り組み方や仕事に対する考え方は違うと思いますが、誰もが知っている有能な経営者の仕事に対する考え方を読み自分を振り返る機会を作るのはいかがでしょう。

本書の初っ端は大前研一です。ちょっと鼻につく人もいるかも知れませんが(私も特に好きではないのですが、説得力のある考え方にひかれて本を買ってしまいます)、本書でも良いことを言っています。

「すべては面白い仕事である!」と。

「面白い仕事をしたい。自分にあった仕事をしたいと多くの人は言うが、本当に面白い仕事とそうでない仕事があるのか。私は違うと思う。どんな仕事からも必ず学ぶべきことがある。だから様々な体験を自分に滋養として与えてやるほうがいい。

ひどい上司に当たったときもよく観察して、ケーススタディに使用と言います。

「与えられた仕事は文句をつけたり拒んだりすべきではない。すべてはチャンスだ。せっかくいやな仕事をやり遂げるのだから、自分は必ずノウハウを手にしてやる、と心に決めて取りかかっていけばいい。できればこの仕事からは、これとこれを学べたと分析して文字に残しておくことをすすめたい。」

「ひとつの仕事を達成したら、たとえどんな小さな業績でも自分なりの能力が増えたことになる。仕事で成長したことになる。それは必ずやりがいにつながっていく。良い上司に巡り合えたら、逆境の中で成長するチャンスがない、というくらいの発想が必要だ。」

「人間は、土壇場に立たされ追い詰められたとき、どうしても自分と向き合わなければならない。あきらめ、絶望し、怒り、さて本当にどうしたんだオレは、と考える。よく、水に落ちたら底まで沈んでから地面をければ浮上するという。真実だろう。沽券や虚勢を静かに突き抜けよう。」

以上、大前の言葉のうち、今の私の心にしみこんできたものを抜き出しました。今まで自分に合った仕事をしたいとか、面白い仕事をしたいと思っていたのですが、その考え方が跳ね返されたと同時に、ちょっと負けずに頑張ろうという気になってきました。

本書に登場してくる人物は素晴らしい方々です。建築家の安藤忠雄さん。IYグループの鈴木敏文さん。私が一番尊敬する人物兼経営者の稲盛和夫さん。林文子ダイエーCEOなどなど。みなさんが、仕事に対する考え方を真摯に述べてくれています。

現代の弱肉強食の社会では言えば気恥ずかしいと思うようなことを堂々と説かれます。まさに、こういう方々が日本を支えていることをうれしく思いますし、世間の風潮に流されず、正しいことは正しいと言える勇気を与えてくれます。

始めに記した大前の言葉以外にも心を打つ言葉がたくさんありますので、その中から少しだけ紹介しておきます。

(資生堂社長 福原義春)

「企業にとって能力主義はある程度必要です。しかし、の応力や成果は万能ではない。人間にはほかにもいろいろな特性が備わっています。リーダーシップや、更新の能力を開発する力。中間管理職としての人徳も当然あるべきだし、社長ならカリスマ性もあるかもしれない。単純に数字にしたり履歴書に列挙したり出来ない豊かな資質が存在します。器量ともいいますね。営業の数字に直接関与しなくても、その人は報酬を支払うに値するプロフェッショナルなのです。人事はそこを見誤ってはならない。」

(佐々木毅 元東大総長)

(学生への言葉)「就職したらスペシャリストではなく、プロフェッショナルを目指して欲しい。スペシャリストとは、与えられた問題を自分の持っている技術で解決するだけの存在でしかない。しかし、プロフェッショナルは、問題そのものを発見する能力と解決する技術を併せ持つ存在です。あなたが、どの分野で、どのようなレベルの仕事についても、そこで見えない問題を浮き彫りにする力。マニュアルを超えていける能力。それを粘り強く、そしてずっと鍛え続けていって欲しいと思います。」

(中略)「今や、どの組織も完璧なままではあり得ない。職を解かれたり、就職が思うにまかせなかったりしたとき、やはり深く傷つくものですが、それは自分の人生での決定的な挫折だなどと考えることはありません。・・・ひとつの大きな挫折でその後の人生が真っ暗闇になってしまうという理解。でも人生はそんなに単純なものではありません。我々は一人ひとりが様々なところでポロポロと挫折するという、細かく微分化されたプロセスに入ってきたのです。それは週d何現象から個人現象になってきたとも言える。あなたの人生に起きる出来事を挫折と呼ぶかどうかまで、あなたが決めることです。しかし、もし失敗と思ってもキレないこと。そこからまた次の可能性へつなげていく生命力を、人は必ず備えているからです。」

(塚本能交 ワコール社長)

「好きな仕事に出会えないと嘆く人の言葉をよく聞きますが、それは探し方を勘違いしているのかも知れません。好きな仕事とは、自分の趣味や好みを生かすというような狭いものではない。自分が楽しむための労働ではありません。どのような人に対して、自分の力で何をしてあげたいかを捜し求めることだと思います。」

(中略)「人はなぜ仕事をするのかと言えば、報酬を得るためだけではなく、自分の誠意を役立てるため。私は本気でそう思っています。それはきれい事だと笑うようなら、あなたはまだ、あなたの仕事に出会っていない。

(稲盛和夫 元京セラ会長)

年功序列が揺らいでいることは事実です。しかし、だからと言って成果主義に飛びつくのは、日本人の文化や仕事の風土をあまりにも知らなさ過ぎる。経営者も従業員も、短絡的に成果主義のような流行に振り回されて右往左往してはならないのです。

人が持っている力は大きい。さらに言えば人が働こうとする意志や頑張りの力は本当に大きいものです。会社が追い込まれ、人員整理をする前に、企業の中で切り捨てるものはほかにないのか。土地や設備や、考えられる限りの経費を抑え、たとえ厳しい状況でも働こうとする人材の意欲を残す手はないか、徹底的に検討すべきでしょう。

企業経営が難しくなったとき、給与は下がるがなんとか会社に残って私に力を貸して欲しいと誠心誠意、従業員に頭を下げる方法もあると思います。経営陣の給与も削って共に苦境を乗り切る発想は決して古くないし、非合理的でもありません。」

(中略)「競争の激しい、弱肉強食のビジネス社会にあって、私たちはすぐに目の前にある利益や目標を必死になって追い続ける姿勢になりがちです。それは毎日食べていかなければならないのだから当たり前でしょう。しかし、精一杯やるということはもちろん大切なことですが、この仕事は何のためにやっているのかといつも自問自答して欲しいと思うのです。

あなたの能力と時間を注ぎ込み、人生を費やしている仕事は人の役に立つのか。人を幸せにすることの一端を担っているのか。その仕事の原点に立ち返ることを忘れずに努力して欲しい。私は今日まで多くの仕事人を見てきましたが、成功を収める企業人に共通しているのは、「利他」の心をいつも秘めているということでした。」

(林文子 ダイエー会長)

「社長業で最も大切なことは、共に働いている社員を幸せにすることです。あなたは部下とのコミュニケーションを大切にし、セールスはいきいきとして業績を伸ばしている。それこそが私の求めているものです。」

「私は、各支店長によく「心を使っていますか」と尋ねます。どんな小さなことでも気づいたら言葉にしてコミュニケーションを図ることです。管理職の能力として上位に来るのはコミュニケーションの力だと考えています・・・」

本書にはまだまだ数々の経営者の考え方が出てきます。

日本経済は最近順調に回復しているように思えますが、そこで働く我々は順調に明るい未来が見えているでしょうか。まだまだ閉塞感の中で働いているのではないでしょうか。また、景気回復の傍らで挫折を味わっている人も多いと思います。かく言う私も閉塞寒があり、プチうつになったりで、本当に働くことの意味を見失っていました。本書に出会えて少しほっとしています。

仕事力 Book 仕事力

著者:朝日新聞広告局
販売元:朝日新聞社
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