行動経済学
「行動経済学」-経済は「感情」で動いている- 友野典男
「経済人」(ホモ・エコノミクス)という特別の人々を知っていますか。
経済人というのは、超合理的に行動し、他人を顧みず自らの利益だけを追求し、そのためには自分を完全にコントロールして、短期的だけでなく長期的にも自分の不利益になるようなことはしない人々である。自分に有利になる機会があれば、他人を出し抜いて自分の得となる行動を躊躇なくとれる人々である。
これまでの経済学というのは、経済人を前提として考えられているのではないでしょうか。経済合理的な行動の結果、アダム・スミスの見えざる手が働くと考えられるはずですよね。
でも本当は、経済人のように超合理的な人間なんていませんよね。経済行動を感情や直感で決め、経済を直感で把握する例は数多いはずです。経済は心で動いていると言えます。
心と言っても、思いやりや優しさとか人間性で動いているというのではないのです。心は合理的推論や計算もするし、感情や直感も生み出します。
今日では、経済には感情や直感も重要な役割が重要な役割を果たしていることが次第に明らかになってきました。抜け目ない人々の合理的な損得勘定から、感情の役割も重視する方向への変化です。
「勘定から感情へ」という転換です。
本書では、経済行動学というタイトルですが、経済行動の背後にある心理的・社会的・生物的基盤を探り、経済行動学の基礎部分を書いたものです。ですから、実体経済についての記述はありません。
著者は、モニターへのいろいろな質問を通して、人間の判断がいかに合理的でないかを示してくれます。
本書の例を書いておきましょう。公正に対する判断についてです。
質問A:ある会社は少しの利益を上げている、その会社は不況地域にあり、深刻な失業はあるがインフレはない。その会社で働きたいと望んでいる人が多数いる。そこでその会社は今年、賃金を7%カットすることにした。(受け入れられる38%、不公正である62%)
質問A´:ある会社は少しの利益をあげている。その会社は不況地域にあって深刻な失業があり、さらにインフレ率は12%である。その会社で働きたいと望んでいる人が多数いる。そこでその会社は今年、昇給は5%しかないことにした。(受け入れられる78%、不公正である22%)
上の質問は、実質賃金は明らかに同じですが、それにもかかわらず公正に対する判断は反対です。
本書では以上のような例が次々と分野ごとに示されていきます。
合理的な推論や冷静な計画による決定が必ずしもうまくいくわけではないということです。
より良い意思決定のために重要な役割を果たしているのが感情だということが、最近の心理学や脳神経科学の発展により明らかにされています。
私たちは、子供のころからずっと、「感情的になるな」「冷静に判断しろ」「情に溺れるな」などと教育されてきました。また感情が合理的な判断や決定の障害になる事例を挙げるのはたやすいですが、まさか逆に感情がなければ合理的な決定ができないなどとは考えてもみなかったかもしれない。経済学を勉強した人でも、教科書や授業で感情に言及されることはないでしょうか。しかし、件年、心理学者のロバート・ザイオンスらの研究を契機として判断や意思決定における感情の持つ役割の重要性が評価されつつあり、さらに神経科学者たちによって感情の持つ積極的な役割、すなわち感情がなければ適切な判断や決定ができないということが解明されつつあります。
本書は少し経済学の本道とは外れますが、マーケティングを勉強する人(人間の行動を知りたい人)には役に立つかもしれませんね。
著者:友野 典男
行動経済学 経済は「感情」で動いている
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コメント
僕はこの本、途中まで読んで、ややこしくなって、そのまま放ってあります。
投稿: サイン | 2006年9月16日 (土) 22時19分