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2006年9月 9日 (土)

デフレは終わるのか

「デフレは終わるのか」 安達誠司  (東洋経済新報社)

最近は、CPI(消費者物価指数)の前年比プラスが続き、そろそろデフレ脱却かと言われだしました。

本書は、2005年の初めに出版された本であり、2004年までのデータに基づきデフレ脱却の可能性について述べています。著者は大和総研、クレディスイスなどを経てドイツ証券でエコノミストをしている方です。

現場を知りながらも、本書では、昭和恐慌時の政策や世界大恐慌時の米国の政策を良く調べてあり、現在の日本のデフレ脱却の可能性を調べています。

2004年末といえば、日経平均は1万円から1万1500円くらいの水準です。また、その当時のトピックスと言えば、りそな銀行を破綻させず、税金の注入によって生き延びさせ、世間にハードランディングはしないというようなメッセージが伝わり、株価が持ち直した頃のはずです。

本書は、現状を知るためにも、良い資料を提供してくれています。

戦前の恐慌時の経験からすると、デフレ解消後にはインフレ加速はせず、長期金利も急騰しなかったそうです。

巨額の経常黒字から対外債権国であるという現状を考えると、国債が暴落する可能性は低い。

デフレが解消し、マイルドインフレになり、プライマリーバランスが取れれば、国債の暴落リスクは極めて少ない。

2002年ごろに「なぜ日本はデフレに陥ったのか?」という問いには、中国など新興工業国の台頭によって、経済のグローバル化が進み、世界中から安価な製品が大量に国内に流入すると言う「100年に1回あるかないかという革命的な経済構造の変化」が起こったという主張があった。

しかし、2003年末の統計資料からみると、中国からの輸入が国内経済に占めるシェアは1.8%と低く、日本全体をデフレに陥れるという事態は想定しにくい。(たぶん、今の方が中国の影響は大きいですよね)

著者は、バブルの真因については、「マネー」であったとします。(たしかに、政策当局のバブルつぶし、日銀の鬼平衛による締め付けはすごかったですからね)こうした湖上名金融の引き締めは、土地を担保として多大な金融機関借り入れをしていた企業(不動産、建設、ノンバンクなど)の返却不能債務を増加させ、不良債権問題を深刻化させました。企業サイドからみれば、企業存続のためには、債務返済を優先させなければならい状況に追い込まれ、前向きな設備投資や研究開発ができず、日本経済全体の需要を冷え込ませました。これが各企業に波及することで、今度は雇用の削減によって、事業規模を縮小させなければならなくなり、ますます日本経済の需要を縮小させ、一般物価の下落を引き起こすことになってしまいました。一般物価ベースでのデフレが始まると、企業としては、販売価格の下落が止まらず、売り上げや】収益の見通しが立たなくなります。そうすると不動産などのバブル企業でなくても、事業拡大に向けての前向きな投資のために借りた資金の返済もできず、不良債権となってしまうという悪循環が生じます。

このように「失われた10年」は、多くが金融政策の失敗によってもたらされた側面が強いのです。

こう考えると、今回のデフレは構造的で現象で、不可避な運命的な社会現象と捉えられることがありますが、これはただの経済現象であり、適切な政策発動があれば克服可能なものであったと言います。

最後に、著者のまとめとして、「デフレは終わるのか」についてまとめています。「デフレはいずれ終わる。そして現状もその時に向かって歩んでいる。しかし、そう簡単には終わらない。完全決着までにはなお時間を要する。」

完全決着に必要なことは、「①デフレ以前の物価水準までリフレ政策モードを解除しないこと。②1992年ごろの税収を推計しそれに見合った財政政策を維持する。③その水準に達成した場合に「出口政策」(インフレターゲットなど)をアナウンスしておくこと」と言います。

みなさん、2006年の夏に読んでみて、違和感はありますか。デフレになった理由などは昨今あまり述べられなくなりましたが、デフレから、やっと出そうなときにこそ、過去の反省をしなくてはならないのではないでしょうか。

デフレは終わるのか Book デフレは終わるのか

著者:安達 誠司
販売元:東洋経済新報社
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