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2006年9月23日 (土)

資源インフレ

「資源インフレ」  柴田昭夫

原油、銅、アルミニウム、鉄鉱石、原料価格などの資源はここ数年高止まりしている。特に原油価格は、地政学的なリスクもあり、この夏は大暴騰したことは大きなニュースにもなり、ガソリン価格の上昇ということで我々の生活に影響を与えています。

今年の暴騰で最も先鋭化した原油市場は、4つの地政学的リスクの噴出によると考えられ、上振れリスクはありこそ、価格低下はなさそうにない。(915日でWTI価格は1バレル約60ドルくらいで、ここが底くらいだろう。またその他の資源についても、中東紛争の落ち着きや、米国経済の沈静化で少し下落気味ですが、世界的な大局的趨勢は変わっていないので、本書の分析に影響はないと思います)

現在の資源価格上昇の基調は、70年代の市況環境に類似しているとの分析があり、興味深いものがあります。

たとえば、ドル不安、米国の国際収支赤字問題、金やドルなどの国際的な資金シフト、米国の中東政策、金やドルなどの国際的な資金シフト、モノ作りをベースとした新興工業国の台頭(70年代は日本、現在は中国)、一次産品輸入大国の登場(昔はソ連、今は中国)、世界的な食料需給の逼迫、米国株価の調整局面入り、環境問題の深刻化(70年代は先進国・日本での公害問題、今は中国など)と、言われればあまりにも似た環境にあります。

資源インフレへの要因の中でも、特に注目するのは中国です。06年1月にジム・ロジャーズが公演の中で「中国は共産主義を自認しているが、その実態は世界最大の資本主義国である。しかもその莫大な人口の多くが勤勉で貯蓄率が35%に及ぶことから、短期的には紆余曲折があったとしても中長期的には成長を続ける」との見方を示しています。

中国の成長が続き供給より需要が大きいままである限り、商品価格は上昇する方向には違いないはずです。

特に中国の経済加速のスピードは幾何級数的なスピードと言えます。所得が爆発的に増えていますし、モータリゼーションの大きな波が来ています。住宅ブームも続くでしょうし、穀物など食料資源の輸入も世界的な脅威と言えるほどです。中国でも資源のメジャー会社を作りパラノイア的な活動をしています。

需要が大きく伸びる要因が目白押しにもかかわらす、資源供給産業はオールドエコノミーに属し、資源の採掘などへの設備投資もあまりできていませんし、エンジニアも不足しています。この分野は若手のエンジニアが入りたいという企業ではありませんので、技術の伝承もできていません。

また、現在のコーポレートガバナンスのあり方も、利益は株主に還元する方向に向き、中長期的な投資に向かえる方向にはなっていません。したがって、資源開発には、資源探索や採掘から採算に乗せるような運搬や流通の構築などに相当の時間がかかり、これへのキャッシュ投入は難しい状況にもあります。

翻って日本経済を見てみましょう。70年代の石油危機を契機に、日本経済は重化学工業による経済成長から加工組立型の経済成長へ、「重厚長大」から「軽薄短小」へと省エネ・省資源化を進め、その後もしっかりとこの体型を維持しています。日本の原油輸入量は、80年の2億5千万キロリットルから現在までほとんど増えていません。この間、実質GDPは240兆円から500兆円へ2倍になっていることから、GDP当たりの原油使用効率は2倍になっていることがわかります。また、円ドル為替も、過去25年間で2倍にきり上がっていることから、それだけ安く原油をかえることになっています。

世界的には中国の台頭などで需要が急増し、資源需給が逼迫するといった構造的な要因に根ざしているものである以上、原油が60ドルや70ドルというものは、もはや世界経済において「安い原油価格を前提にした成長モデル」、あるいは「環境に大きな負荷をかけた成長モデル」には限界が来ています。日本にとっても、資源価格が上がってしまって経済がよくなるということは言うまでもありません。

さらに現在では、9.11のようなテロの不安、イスラム原理主義、イランやイラクの問題、鳥インフルエンザやBSEの感染症の広がり、巨大ハリケーンの襲来など、世界経済に大きな不安を与える不確実性がどんどん大きくなっており、世界的に何が起こっても不思議ではない状況が生まれ、「何でもありの世界」の出現を高めています。

著者がこの分析をもとに、日本の方向性を示しています。

実は、日本が今までにやってきた成長モデルが、世界に向けた新たなパラダイムの転換を示すことができるとします。そのための切り口には、技術革新と地域経済協力による、①環境、エネルギー、食料など社会問題の解決、②IT・ネットワーク時代と高い資源に対応した産業・社会システムの構築、③急速に進む少子高齢化社会への対応として、世界に先駆ける形でのヘルスケア分野の開拓、である。

そして、今後の10年間が日本にとってのチャンスであり、団塊の世代とその前後の世代の約1千万人が開拓のパワーと情熱が必要だとします。

資源インフレ―日本を襲う経済リスクの正体 Book 資源インフレ―日本を襲う経済リスクの正体

著者:柴田 明夫
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