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2006年9月 1日 (金)

クール・ジャパン

「クール・ジャパン 世界が買いたがる日本」 杉山知之

06年の9月1日の日経夕刊で紹介されていましたが、今、フランスの若者が夢中になる日本文化はアニメであると。「MANGA」「OTAKU」という言葉を使い、書店では「NANA」「NARUTO」など日本マンガの翻訳本に群がっているのだそうです。この夏、日本のポップカルチャーを紹介する「ジャパンエキスポ」がパリ郊外で開かれ、3日間で集まった若者は5万6千人。目当てはアニメで、ゲームソフトの主人公に成りすましたコスプレ姿が目についたそうです。

このように、21世紀に入ってから、日本のポップカルチャーが海外で高く評価されていますが、著者であるデジタルハリウッド大学・大学院長を務める杉山氏が、ビジネスとしてのクール・ジャパンを分析し、今後の世界戦略などを述べた本です。

「クール・ジャパン」という言葉が市民権を得始めたのは、ここ3年ほどのことだそうです。きっかけは、アメリカ外交専門誌「フォーリン・ポリシー」の2002年6月号に掲載された“日本のグロス・ナショナル・クール」という論文です。その論文で「現代の国力を見るときに、GNPやGDPといった、従来の経済指標では尺度になり得ない。一国の持つクールさ(かっこよさ)で計る必要がある」として「GNC(グロス・ナショナル・クール)」という概念を提唱しました。

フランスの「ル・モンド」紙にも2003年12月18日付で「クール・ジャパン-日本はポップのスーパーパワー」と題する記事が載りました。ここでは、アニメからファッション、デザインなど日本のポップは日本のイメージチェンジに貢献しているとしています。また、1960年代にアメリカのポップカルチャーを通して人権や民主主義が伝わったように、日本のポップは他社との共生や異質性を伝えるのではないかと評価しています。

さらに、「ワシントン・ポスト」紙が「日本はクールの帝国」と題し、日本が「文化的スーパーパワー」として台頭してくると予想しています。

アメリカでは1963年から「アストロボーイ(鉄腕アトム)」が放送されており、その後も日本で放送されたアニメはほとんどといっていいほど海外に輸出され繰り返し放送されていたそうですが、アメリカで日本のアニメが市民権を得たのは世界でも最後発らしいのです。日本のアニメは、ヨーロッパやアジアから浸透していったそうで、ただ、どこの国でもそれが日本のアニメだとは知らずにずっと見ていたそうです。国際的に取引されているアニメの総本数や売買額については完全な統計はないのだそうですが、約6割が日本製とされています。

現在、アメリカでは、「マッハGO!GO!GO!」や「エイトマン」が再放送を繰り返し、2、3世代に渡って日本のアニメがアメリカ人のボリュームゾーンに浸透していて、「クール・ジャパン」に憧れる下地が出来ているようです。

ビジネスとしてみた日本のコンテンツ産業は2003年の経済産業省監修のデータでは約15兆円です。世界のコンテンツ市場は2002年で124兆円で、アメリカが52兆円であり、日本は2位なのですが、アメリカの足元にも及んでいません。

日本のコンテンツ産業の成長率は2.3%ですが、世界平均は5%、中国にいたっては13.1%と驚くべき数字です。「クール・ジャパン」の評価が海外で高まり、コンテンツ産業が日本の戦略的産業となると期待されているだけに、国を挙げての対応が必要になります。

著者は「クール・ジャパン」が評価される源泉は、ソフトだけではないと見ています。日本の面白さは工業製品とソフトが合体しているところにあると見ます。人が欲しくなる商品はデジタル商品だけでなく、キャラクター商品というモノであったりするのです。高度な工業製品と合体したコンテンツ、それが「クール・ジャパン」の強みだと認識しなさいということです。

日本のマンガやアニメがこれだけ世界中に広まった要因のひとつは、日本が優れた工業製品を送り続けたからだといえます。自動車や電化製品の一流品を作る国という印象の上にアニメがあるのでしょう。

さて、オタクが「クール・ジャパン」の一翼を担っているわけですが、アニメの世界だけではありません。あらゆる趣味にオタクは存在し、音楽の世界においてもです。アメリカのジャズ愛好家の間では「ジャズをきちんと集めたければ日本に来るしかない」といわれているのです。人種差別主義も欧米の大きなタブーですが、反面深く根を張った感情であり、古いジャズは黒人音楽であったため、聴かない人も多くいるらしい。日本人にはそんな意識はないのでアメリカ人でも驚くような全集ができたりするのだ。日本のCDショップで、品揃えを見て「黄色い人たちが、こんなに全部揃えてくれてありがとう。すごい。」と涙ながらに感激する人もいるのだそうです。

ジャズオタクは50代以上のおじさんが中心ですが、そのおじさんが「秋葉に集まっている若者はオタクで理解できない」などといって排除しようとしますが、同類なのです。たまたま対象が違っただけで、心がぐっとつかまれたものが時代背景で少し違っただけなのです。

「クール・ジャパン」が注目されるようになったのは、アメリカやフランスで、自国に同じビジネスができると思っているアメリカ人やフランス人もいるだろう。だが、日本にとって有利なのは、そこに「本場感」という壁があることです。ビートルズが流行ったから、モンキーズで取って変われなかったようなものです。

しかし、今後のコンテンツビジネスにも課題があります。キャラクターを作っても3DCGにするようなプログラマーが不足しているようです。また、理工学部系で物理学を学んだ人が必要だといいます。アニメの中でも光線の当たったときの影や水中を高速で進んだ場合の風景など、大学や研究所で研究した人が本物感を出すためには必要なようです。

少子化や財政悪化に悩む日本が、「クール・ジャパン」で日本を新しい次元へ導いてくれるかも知れませんね。

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著者:杉山 知之
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