« 成果主義 日経ビジネス | トップページ | 伊藤元重のマーケティング・エコミックス »

2006年10月 8日 (日)

「追跡!値段ミステリー」

「追跡!値段ミステリー」  日本経済新聞社

本書は日経新聞の連載コラムをまとめたものです。商品情報とは異質に、値段そのものに潜む様々な謎を掘り起こし、解明していくものです。

値段といえば、需要と供給で決まるとは言え、需要サイドにも、供給サイドにも思惑や事情があります。普段何気なく買っているものや受けているサービスにまつわるちょっとした疑問に答えてくれるのが本書です。新聞記者さんも新製品などの情報収集は得意としますが、なんでこの値段なの?ということを調べていくのは大変だったようですよ。それに毎週の新聞連載に、何の値段について調べれば読者に喜んでもらえるのかも相当苦労したようです。全部で75のミステリーと23の値段についてのコラムが掲載されています。

この本って、値段についてのトリビアの泉のようなものですか。いやいや無駄な知識とは言いがたいので、トリビアではないですかね。

値段ミステリーについて少し紹介しておきます。

1.        セルフ式給油所、割安感が薄れたのはなぜか。

セルフ店の経営コストは、実は従来型と変わらないのだそうです。確かに人件費は節約できるのですが、人が少ない分、監視カメラや消化設備など安全対策を充実させる必要があり、従来型より2千万円ほど多く設備投資がかかるそうです。それに、オイル交換やカー用品販売などの儲けもない分、セルフ式は従来型よりも採算面で不利となっているようです。

2.        魚のすり身、高騰続く

大手水産会社は春と秋にアメリカの水産加工会社などとすり身の輸入交渉をするのですが、04年春から3回の交渉で3回連続約30%の値上がりをしているそうです。理由は、白身魚フライやハンバーガーの具などに使うために、ヨーロッパや中国でフィレの需要が急騰していることにあります。その背景には、BSE問題や鳥インフルエンザなどにより、魚が見直されていることです。世界的にみても漁獲量が減っている中での需要が増しているとのことです。

(スーパーのちくわなども、値段は変わっていませんが、量が減っていますよね)

3.        ティッシュペーパー、なぜ5箱パック?

スーパーやドラックストアでは5箱をポリ袋でパックにしているのが普通ですよね。なぜ、こんな売り方になったのか。これは1984年、ネピアで知られる王子製紙がはじめたことです。なぜ、こうしたのかというと、特売などで2個、3個と買う消費者が増え始め、小売店がお客さんのためにひもで縛るなどしていたので、利便性を考えてはじめたそうですよ。

4.        国産サクランボはなぜ高い

サクランボといえば、佐藤錦など高級品を思い浮かびます。当然アメリカンチェリーより高いし、日本産は高級品と信じて疑わない人も多いはず。サクランボはみかんなど他の果実と比べると、収穫量も少ないし、旬も短いので、需給関係から考えると高くなるのですが、同様に6月が旬のビワはサクランボ収穫量の半分なのに、卸値はサクランボの半分です。需給関係で考えると、ビワのほうが高くても不思議ではないのですが。なぜか。卸売市場の関係者に聞くと、サクランボの赤色は消費者の初夏のイメージとして定着しているからとのこと。売り場に季節感を出したいからと、百貨店やスーパーから高値で注文がはいるのです。また、鮮やかな赤は贈答品にもイメージがよいようです。サクランボの商品価値を大きく決めるのは、赤色なのですね。

5.        トロピカルフルーツ、高くても消費が伸びる?

今年の夏は、マンゴーが大人気でしたね。本書が連載を始めたころからも、徐々にマンゴーなどトロピカルフルーツが高くても売れ出したようです。

マンゴーは、1個1500円の沖縄産、800円くらいの豪州産、500円程度のメキシコ産とそれぞれ品質、価格に応じた種類があり、それぞれにイメージがあり、値崩れを起こしていないそうです。

かつて、安売り競争の激しかったバナナやパイナップルも、最近は値段が高くなる傾向があるそうです。それは、甘みが強い新種類の輸入が増え、値段が多少高めでも、味を評価して繰り返し買うお客さんが増えているようです。

6.        缶コーヒー、原料高騰してもなぜ120円?

コーヒー豆って日本では取れないし、世界的には価格変動が激しく、高騰することもしばしばです。でも、いつも120円で売っているのはなぜでしょう。缶コーヒーの消費税を除いた115円の内訳は、人件費、広告宣伝費など飲料メーカーの経費が4割、問屋や小売店の収入となる流通マージンが3割、残り3割が原材料費となる。さらに、この原材料費を分解すると、実は半分以上はスチール缶、段ボール箱などの包装資材が占める。缶コーヒーの競争は熾烈で、できるだけ目立つようにと缶作りにあらゆる知恵が絞られます。そのため1缶当たりざっと20円にもなります。肝心のコーヒー豆原価は1缶で、5円くらいだそうです。だから、コーヒー豆の価格変動があまり響かないのですね。

7.        東京のタクシーの値段は、なぜ下がらない。

タクシー業界は、2002年の規制緩和で運賃設定や新規参入規制が緩和されました。ところが大阪と東京では事情がちょっと違います。東京では値下げなんてあまりないのに、大阪では20社近くが初乗りを値下げして、5千円を超えれば半額割引が当たり前になっています。ここには需給の関係があるそうです。大阪から東京に本社を移したり、大阪支店を小さくして東京本社に業務を集中してコスト削減を図ろうとしたりします。また景気も東京の方が良く、需要が旺盛であるため、値段が下がりません。ここまでなら、単に需給の関係での話ですが、顧客の気質の違いも大きいのだそうです。東京では運賃が安くても運転手が喫煙したり、地理に不案内だったりすると、その会社はすぐに敬遠されてしまいます。割安感重視の大阪に対し、快適さや速さを含めた満足感重視の傾向が強いようです。割安な小型車より、乗り心地の良い大型・中型車を好む客が多いのも東京です。東京では運賃の違うタクシーが並んでいても、先頭の車を飛ばして2台目以降の安い車に乗る人は少ないそうです。大阪なら、わざわざ安いタクシーを目の前にして、高いタクシーに乗るなんてバカにされますよね。

追跡!値段ミステリー Book 追跡!値段ミステリー

販売元:日本経済新聞社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

|

« 成果主義 日経ビジネス | トップページ | 伊藤元重のマーケティング・エコミックス »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/110149/3737752

この記事へのトラックバック一覧です: 「追跡!値段ミステリー」:

» アルコールセンサー販売 [アルコールセンサー]
アルコールセンサー販売。飲んだら乗るな!乗るなら飲むな!飲酒運転撲滅キャンペーン実施中!飲酒運転の事故が多発しているためアルコールセンサーを特別価格にて販売いたします。 [続きを読む]

受信: 2006年10月 9日 (月) 09時22分

« 成果主義 日経ビジネス | トップページ | 伊藤元重のマーケティング・エコミックス »