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2006年11月11日 (土)

新・富裕層マネー

「新・富裕層マネー」  日本経済新聞社編

本書は日本金融新聞の連載企画「個人マネー・ウォーズ」を大幅に加筆されたものです。

今や日本の家計が持つ金融資産の総額は、2005年末に1500兆円を超えました。国民一人当たりにすると、1200万円強ずつ保有している計算になります。「下流社会」「格差社会」といった言葉が流行語になっていますが、格差が本当に広がっているかどうかは別としても、個人の金融資産が少しでも有利な運用先を目指し、大きなうねりになって動き始めたのは間違いありません。ゼロ金利が解除されたとはいえ、まだまだ長引くだろう超低金利と、少子高齢化で高まる将来への不安にペイオフ全面解禁が加わり、少しでも有利な運用先を求めています。バブルの負の資産の処理を進んで個人に蓄積されてきた日本で、欧米で培われた富裕層向けのプライベートバンキングが浸透する素地が広がっています。

日本にはどれだけの富裕層がいるのだろうか。野村総研の調べでは、1億円以上の資産を持っている世帯は約80万に及ぶという。細かく見ていくと、純金融資産を5億円以上も保有するスーパーリッチは6万世帯もあるという。純金融資産が1億円以上ある層の資産は163兆円とされています。ただ、お金持ち層はもっと多いという分析がある。総務省などの家計アンケートで富裕層が正直に答えていないという説もあるそうです。大口資産家が正直に回答したり、回答を拒否していることがあり、日銀の資金循環統計から1世帯当たりの貯蓄保有額を計算すると2902万円になるといいます。

ここで大前研一の1020日付のメルマガを紹介しておきます。富裕層の状況がよくわかります。

「10日、三菱UFJメリルリンチPB証券は、日本の富裕層人口が アジア8市場(日中韓印香台・シンガポール・インドネシア)の中で首位・141万人に達すると発表しました。(※ここで言う富裕層とは、純金融資産の保有額が100万ドル(約1億2000万円)以上の個人ということになります)しかし、人数こそ首位のものの、日本の伸び率は8市場の中で最も低水準で、また1人当りの平均保有資産は270万ドル(約3億2000万円)で、こちらも8市場中、7番目という状況です。首位の香港が530万ドル、2位の中国が500万ドルですから、日本の場合には富裕層と言っても、小金持ちが大勢いる状態と言ってもいいかも知れません」

三菱UFJグループには、米国メルリリンチと合弁でプライベートバンキングに取り組んでいます。他にもメガバンクが一斉に富裕層の個人をめがけて走り始めているのです。また、日本市場を好機到来と欧州系プライベートバンクの参入や事業拡大が相次いでいます。

また、上で紹介した大前のメルマガの通り、小金持ちの富裕層を対象に地域金融機関も専門チームを作ってプライベートバンキングを始めています。本書でも京都銀行の例が紹介されています。

メガバンクでは、2002年にPBの先駆者として、三菱UFJのダイヤモンドプライベートオフィスが紹介されています。当時は、東京三菱銀行、三菱信託銀行、東京海上、三菱地所など三菱グループ6社と地銀19行で設立した三菱のプライベートバンキングの橋頭堡だと紹介されます。ここでは、05年上期の金融商品の販売額は前年同期の2倍に膨らんでいるそうです。三菱UFJの幹部は、富裕層を顧客として取り込む競争は第1幕を終え、第2幕が始まったと言います。

(先日のニュースでは、旧UFJ銀行系のPBも三菱系のPBとくっつきました)

ニッポン株式会社を長く支えてきた「団塊の世代」が定年退職期に入る2007年が目前に迫り、総額50兆円といわれる退職金が個人マネー争奪戦の主戦場になりつつあります。この団塊世代をいかにつかんでいくかが、金融界の将来の勢力図まで左右する可能性すらあります。最近の証券市場の活性化の立役者であるネット証券会社も、団塊の世代を次の収益源と見ています。例えば松井証券が抱える団塊世代の顧客は4万3千人にも達しています。ライバルのカブドットコムは、60歳代以上の顧客の手数料を割り引く制度を始めています。

団塊の世代の退職金を50兆円といいますが、これは大手銀行の預金量に匹敵します。この前後の世代の退職金を加えれば退職金の総額は20兆から30兆膨らむとの資産もあります。確かに、以前よりは所得環境は厳しくなっているとはいえ、団塊世代は住宅ローンの返済を終え、子供も独立している世代が多く、いずれ退職金を手にし、お金にも時間にも余裕がある層が増えるのです。

(私事ですが、40代の私としては、給料は減るし、退職金なんてもらえるかどうかわからないのにうらやましい限りです。私は大手金融グループのある会社に勤めていますが、ホンネを言えば、自分の生活の将来がどうなるかわからない中で、富裕層のお客様を相手のサービスを考えないといけなというつらい立場です。これは中小企業で苦労をされている方が多い中で愚痴に聞こえるかも知れませんが、大手企業といっても、成果主義の名のもとに賃金格差が大きくなり、評価が下がると賃金も大きく下がりモチベーションが下がります)

さて、本書では、富裕層の取り込みの話だけでなく、少子化の中で将来の顧客をつかむための金融機関のあの手この手もたっぷり紹介されていますので面白いですよ。(私も今年の夏は、子供の夏休みの自由研究に、日経新聞がネットで実施している親子の株式教室で自分で選んだ株価をプロットするようなことをしました)

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