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2006年11月23日 (木)

日経MJトレンド情報2007

「日経MJトレンド情報源2007」  日経MJ編

みなさんは日経MJ(流通新聞)を読んでいますか。私は20年以上も前に会社に入った頃に自分で取っていましたが、金の切れ目が縁の切れ目でそのうち取るのをやめてしまいました。会社でマーケティング関係の仕事をしている時には、会社でとっている日経MJを読んでいました。今は、時々、図書館で読むくらいですが、仕事に関係する、しないに関わらず、面白いですよね。

毎年10月頃になると過去1年間の記事やデータから、まさにマーケティング年鑑というべきものが「日経MJトレンド情報源」で、本書は2007年版です。

さすがMJらしく、本書は、最新の消費トレンド分析、流通業界の動向、そして流通関連のデータ集ありと、面白さ満載です。マーケティング担当者なら是非とも手元において置きたい本ですよね。

本書での消費トレンド分析を見ていきましょう。

「もったいない」という日本語が世界に広まっていますし、確かに現在、日本に「もったいない」型消費者や消費行動が急速に増えつつあるように見えます。本書の鋭い分析は、消費者が「もったいな」と感じているのは地球環境や資源ではなく、消費行動に振り向ける自分自身の時間と労力ではないかと見ているところです。

その日本的「もったいない」型消費が増えている結果、生じている現象の代表例が、「投資型消費」と「クチコミ消費の全盛」だと言います。

その前提としての社会全体の分析も社会学的な見方で面白いです。

1980年、アルビン・トフラーが「第三の波」で提唱した「プロシューマー」という概念があります。高度消費社会では、買い手が作り手とプロセスを共有しながら、消費者と生産者を一体とした考え方ですが、現段階では半分当たって、半分はずれているといいます。それはなぜか。生産プロセスへの参加手段が、トフラーが考えていたよりも、高度化、情報化しているからです。ご存知の通りインターネットの登場です。

また、消費者の洗練化です。70年代までに標準世帯を主役とした大衆消費の段階を終了した日本の消費者は80年代のバブル期にモノを見る目、肥えた舌などを手に入れ、90年代の不況期には価値に見合う価格とは何かを考え続けた結果、コストパフォーマンスに関する敏感さを習得するに至っています。

最近では少子高齢化がこの流れに拍車をかけます。カネと時間を同時に手にした高齢消費者の「うるささ」は、商売をしている人には身にしみて感じているところです。

最近の消費者の指向としては、「癒し指向」から「元気・戦闘モード」へシフトチェンジしているのではないかと。ほんの少し前まで「泣ける」小説や映画が売れ筋でしたが、経済の回復基調に触発され、攻めの消費行動に移ってきていると考えています。

(ここは大切な分析だと思います。現在でも泣けるドラマや映画が流行っていますが、これからは癒し系などで攻めようと考えていてはいけないと言うことだと思います。企業収益は改善されてきていますが、個人消費には波及していませんが、もう少し時間がたてば、個人消費へ波及し、本書のいう方向に向かうと思われます。)

始めのほうで現象として「投資型消費」と「クチコミ消費の全盛」が現れていると言いました。

先ず、投資としての消費について見ていきましょう。

近年急拡大してきた「頑張っている自分へのご褒美」消費が急減速しています。バレンタインのチョコ買いからも、マイチョコが前年比14%の減額。本命チョコも微増です。ハイリスクな一点買い(結婚を狙う本命への重点投資)から、安全を考えた分散投資(職場や取引先との人脈作り)へと変わっていると。

オフィス街のランチタイム風景も変わっています。楽しげな雰囲気が希薄になっていると言います。客の女性たちは黙々と、有機野菜や海草で構成されたメニューを口に運びます。わいわいOLがランチを楽しむ姿とは正反対で、食後のデザートが見せ選びの決め手だった数年前とは大違いです。

この消費は、一時の満足のための「費やし、消える」消費ではない。先をにらんだ「投資としての消費」であると。

なぜ、こうした流れが生まれてきたのでしょう。

第一に、社会と生活のあらゆる分野に自由競争的な思想が入り込み、個人が自分の人生に経営的な感覚で望むようになったこと。株式などの投資に個人マネーが流れ込む中、従来の消費も無縁ではいられないようになりました。

第二は、見返りや効用が無くてもOKと思わせる魅力的な商品、サービス、エンターテイメントが不足していること。軽自動車ブームなど、本来の「単なる移動道具」に戻りつつあるクルマ選びがその好例です。

アート作品の購入者が本当に買っているのは、「アートを買う自分」という自画像だと言うのがマーケティングの定説です。人は何に対して、どういう目的で財布のヒモを緩めるのか。モノと目的の乖離をきちんと見極めることが、ますます重要になってきています。

次にクチコミについて考えましょう。

せっかく仕入れた情報は他人と共有したい。買い物をした結果(満足から怒りまで)も一人で抱え込んではもったいないとネットで発信します。以前は、AIDMAの法則(マーケティング理論なので説明は省略しますが)がマーケティングの基本とされたこともありましたが、最近では、サーチ(検索)と、最後にシェア(情報共有)が加わり、AISASの法則という言葉が生まれています。インターネットが普及した今、新たな顧客心理を加味したマーケティング戦略を立案しなければならなくなっています。

本書で注目している世代があります。団塊と団塊ジュニアに挟まれた谷間の世代です。この2つの山を当て込んだ企業ほど当てが外れて困っています。理由は簡単。団塊の世代の多くは長い老後のために支出を控え、再就職を希望している。バブル期に高く長期の住宅ローンを抱えた人も多い。団塊ジュニアは大学卒業が就職氷河期にぶつかり、フリーターも多い。正社員でも業種によってはボーナスが年々下がり続ける人もいます。

回復途上にある個人消費のけん引役は、統計的には少数派であるはずの谷間の世代なのです。60年代前半と生まれを中心にその前後数年を含む、40代の世代です。この世代の男性はおしゃれ、グルメと活発な消費を展開している。しかも上の世代のような渋いご隠居趣味ではない。(男ならチョイ悪おやじでしょうか)女性ならJJで育った方たちです。元JJモデルの黒田知永子さんに代表されるように、JJから始まり、雑誌「VERY」から、40代向け「STORY」のモデルになっていますが、ここの世代にピッタリ照準を合わせた企業は利益を確保しています。

最後に、トレンドのキーワードを紹介しておきます。ずばり「80年代」です。オートフォーカスをα7000は1985年に発売し、大評判になりました。今は、デジタル一眼レフ(今やソニーがαブランドで出していますよね)が流行っていますし、クルマで前回のバブル期を代表する車はシーマでしたが、今回の象徴はレクサスです。

みなさんもちょっと考えてみてください。

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