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2006年12月 3日 (日)

下流社会マーケティング

「下流社会マーケティングマーケティング」  三浦展

三浦氏といえば、「下流社会」を著し、流行語にもなったくらいですし、最近はあまりにも有名で説明するまでもないのですが、日本の社会をマーケティングの観点から鋭い分析を提供し続けています。

社会学理論を学んだことのある方なら、三浦氏の多くの著書を読んでみると、だいたい世の中を観る視点のフレームワークに気がつくはずです。三浦氏も社会学部出身ですものね。

本書を紹介するに当たって明確にしておかないといけないことは、下流社会の名前がついていますが、格差問題の話ではなく、まったく現在の状況をマーケティングの観点から分析して、階層化している社会に対してどんなマーケティングが必要かということを述べたものですから、格差の原因だとかに興味がある人は不向きです。前著「下流社会」で分析されていますので、その前提に立って、いかにマーケティングを考えるかを書いたものです。格差があるから悪いとかそんなことはともかく、著者は予断を廃して、純粋なマーケターして書いています。

日本では70年代以降「1億総中流」という言葉が使われてきましたが、その流れが変わってきたと考えています。(前著「下流社会」を読んでください)

著者が、使った「下流」という言葉は、単に所得が低い人を指すだけではありません。コミュニケーション能力や生活する能力が低く、働く意欲、学習意欲、消費意欲も低い、総じて人生への意欲が低い人々のことです。そして、「下流社会」というのは、定義ではなく(つまり現実ではない)、現実を見るための道具、メガネであるといいます。三浦流のメガネをかけて、如何に社会を観るかということです。

著者は、政治の世界で使われる55年体制を中流社会を目指した体制であり、それに対して、2005年体制という言葉を作っています。物質的に豊かさはすでに頂点に達していて、もっとたくさんのモノが欲しいという気持ちは、国民の間にはあまりないと。むしろ、今の豊かさを維持できればいいとか、最近、新たに生じつつある精神的・経済的な不安を解消するという価値観のほうが強まっていると。

すでに55年体制の特長だった「中流化」というトレンドは終わって、2005年体制の特徴である「階層化」という新しいトレンドに向かいつつあるといいます。

マーケターらしく現状分析として、人口が50年で4000万人ずつ増減すること、少子化、世帯数の増加や標準世帯の減少などを説明していきます。当然その中で、55年体制で大量にモノが消費されたことを説明します。団塊のジュニア世代は、団塊の世代のように買い替え需要が小さくなってきているとの指摘は鋭いものがあります。団塊の世代は、どんどん車も大きなものに買い替えたり、14インチのテレビを36インチに買い換えていきましたが、最初から30インチ以上のテレビを持っている世代が、25年後に100インチに買い換える可能性は低いとのこと。当然、昔のように標準世帯をターゲットにしたマーケティングは通用しないとします。

つまり市場をよく見極める必要があるということです。人口減少といいますが、全ての市場が縮小していくのかというと、伸びる市場もあるということです。人口学的にいうと、数が増えるのは、高齢者の夫婦のみ世帯や、一人暮らし、そして中年の未婚者です。とはいっても、高齢者は既にある程度モノを持っているし、中年の未婚者に大きな需要があるとは思えません。だから、量を狙うのではなく、商品の単価を上げる質重視のマーケティングが必要だと。

そのためには、ターゲットを明確にして、その人たちにピッタリの商品を提供することが重要になります。

著者の注目点は、標準家族が少なくなってきたことから、ファミリー市場からシングル市場への変化です。ファミリーであっても、家族の一人ひとりがシングルとして消費するということもあるのです。食事も個別、音楽もiPodなど個別に聴く、風邪薬まで自分にあった薬、シャンプーも家族で使うのではなく、個人用となってきています。(これは実感できますね)

このようなライフスタイルに合わせて、3つのケアが今後のポイントだとします。

先ずは「人のケア」(健康、美容、メンタル)。第2は「お金のケア」(収入、資産、保険、セキュリティ)。第3は「モノ、都市のケア」(リサイクル、リノベーション、リフォーム、コンバージョンなど)です。

80年代は、「ニーズからウォンツ」がテーマでしたし、その結果、企業は「多品種少量生産」を行いました。しかし、この多品種少量生産のやり方はもうピークに達しています。iPodを一人で何台も持つ必要はありません、今後は、ウォンツではなく、「高次のニーズ」、レベルの高いニーズを探り出して、それに応えることが、新しい需要拡大のために必要になると著者は考えています。そのためには「コンシェルジュ的サービス」が必要だと。

著者が団塊の世代をクラスター分析や団塊ジュニアの分析はさすがです。ここは深いので、是非買って読んでみてください。

下流社会マーケティング Book 下流社会マーケティング

著者:三浦 展
販売元:日本実業出版社
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