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2006年12月10日 (日)

ブランドの条件

「ブランドの条件」  山田登世子

ブランドって何でしょう。ただの流行ですか。最近は、銀座、青山、表参道などに次々に欧米のブランドの旗艦店が出店しています。

本書は、まさに、そのブランドって何を考えている本です。

エルメス、ルイ・ヴィトン、シャネル、グッチ、プラダ、コーチとバッグだけでもたくさんの高級ブランドがあります。そして、そのブランドが私たちの周りにひしめいています。20代の女性の手にもたれ、ごく身近な存在でもあります。何十万もする贅沢品が、日常風景となっています。ブランド現象とは、「贅沢の大衆化」だと著者は言います。

大衆化しながらも、なぜ、これらのラグジュアリー・ブランドが、ブランドたる条件とは何かを考えたものです。

著者は、購買心理論ではブランドの本質は解けないという長年の思いがあったようで、本書では、買う側より、むしろ売る側から考えたほうが本質に近づけるのではないかということで、ヴィトン、エルメス、シャネルの誕生物語から語ってくれます。特にこの3ブランドを語るのは、その生い立ちやコンセプトに明瞭な違いがあるそうで、それを説明していきます。

エルメスとシャネルは、いずれも高級価格政策は同じですが、モードに対する距離の取り方が違います。シャネルが限りなくモード寄りのスタンスを取って時のトレンド・セッターであろうとするのに対し、エルメスはむしろ流行から超然とした姿勢を取ろうとします。シャネルが旬の季節のときめきの魅惑を売るのに対し、エルメスは永遠性の高みに踏みとどまって、その「変わらなさ」を売っているように見えます。

エルメスやヴィトンは、19世紀に出来たメゾン・ブランドの典型で、王侯貴族を顧客にして今日の繁栄を築いてきました。この2つはもともと永遠性と貴族性を志向するブランドでした。

一方、20世紀に誕生したブランドであるシャネルは、大衆の力を背景に生まれました。大衆のマインドと呼応して「ファッションをストリートへ」という創始者シャネルの精神そのものなのです。

こうしてストリートに寄り添い、モードに寄り添うシャネルのブランド・コンセプトと、「変わらない」ことを重んじるエルメスのそれとは、いわば19世紀と20世紀の開きがあります。2つの差異は、ヨーロッパ型資本主義とアメリカ型資本主義ほどにも大きなものがあります。

ヴィトンやエルメスは、始めに皇室ありきです。特権階級を顧客にして誕生し、本質的にはロイヤル・ブランドです。そして、そのブランドに権威と信用が根拠の問題です。ラグジュアリー・ブランドのオーラがこの起源のシーンがあって、それを与えているのは皇室だというのです。

そういいながらも、ヴィトンやエルメスの商品はなぜただのバッグではないのか。「ヴィトンはヴィトンだから価値がある。」これしかいえないのではないのでしょうか。

ヴィトンやエルメスも、フランスの国家戦略ともいえる政策で、パリ万博などでの出品やナポレオン3世のブランド戦略で、フランスの一大産業になってきたわけです。

そいて、デモクラシーの時代とともに、贅沢は貴族財であることをやめ、商品化して金で変えるものになり、現代的なラグジュアリー・ブランドまで一直線になったのです。

ヴィトンやエルメスの製造も価値を高めています。大量生産で作るのではなく、ハンドメイドです。現代でこれほどの贅沢はありません。エルメスは作った職人がわかるようになっていて、リペア・サービスに出した場合、その作った職人が自らリペアするのです。

また、職人の少量生産は大量生産のマーケットの世の中では希少価値があり、逆に価値を増すことになります。

逆にシャネルは、フォードのように大量生産される服を発表しました。シャネルは、貴族が召使に着せてもらう服ではなく、自分で着られるモダンガールのための服を提案したのです。自立した女性の服を提案したのです。まさにライフスタイルを変えていったのです。シャネルには、伝統も権威も職人生産の神話もありません。価値の源泉はまさにシャネルのネームヴァリューに基づいているのです。

今や、ヴィトンもエルメスもデザイナーを雇い、新しいものづくりに挑戦しています。「変わるもの」と「変わらないもの」の微妙なバランスを取りながら、新しい価値に挑戦しています。

しかしながらも、私たちは贅沢を買いたいと思っているのです。しかし、本当の贅沢とは何なのでしょうか。

本書は、俗に言うブランドであるラグジュアリー・ブランドについて書かれたものです。SONYやトヨタなどのブランド論とは全く別物です。著者の言う通り供給側からの解説になっているのですが、やはり、どうして高額品を買いたくなる人々が多いのかがよくわからない、もっやっと感が残りました。

ブランドの条件 Book ブランドの条件

著者:山田 登世子
販売元:岩波書店
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