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2007年1月27日 (土)

ケータイの未来

「ケータイの未来」  夏野剛

ドコモがiモードを立ち上げたときに、ドコモが松永真里をリクルートからスカウトしてきましたが、そのとき松永が引き連れて、ドコモに乗り込んだのが本書の著者である夏野です。今やNTTドコモの執行役員にまで上り詰めましたが、通信業界では異端児で、だからこそiモードをここまで引っ張ってきた人物です。ドコモ社内ではそうとう浮いていて扱いは難しそうな人物ではあります。
本書では、夏野が描くケータイの未来を示してくれます。これまでは、通話料とデータ通信料が利益の柱でしたが、今や、データ定額制などで、通信会社が受け取れる利益に限界が出てきました。著者の考えるケータイの今後の収益源は、金融リテールです。ドコモは、個人の消費活動にあわせた総合的なサービスを提供するといいます。ケータイはユーザーとともに進化しており、それが「通信インフラ期」「ITインフラ期」から「生活インフラ期」へ移行していると考えています。

数字で見てみると、モバイルコマースの市場は、2004年度は9710億円以上になるといわれており、1兆円をうかがう規模に成長していることがわかります。
iモードに続いておさいふケータイやクレジット機能が個人のライフスタイルを変えるのだといいます。真に強い企業、影響力がある企業は、ユーザーのライフスタイルを変えられるのであり、ドコモはそれができるとします。

ドコモは、はじめおさいふケータイを初め、三井住友カードと組んで、iDを初め、今は、自前のクレジットであるDCMXを立ち上げています。なぜ、ドコモは、金融分野に攻め込んでいるのでしょうか。
第一の理由は、クレジットカード産業は急速に伸びている産業であるからです。日本経済の中で、あらゆる産業が成熟している中で、取扱高が2年ごとに2~3兆円ずつ増えているのです。日本の消費者向け市場の中で、ここ数年ケータイ市場が高成長を遂げていますが、クレジットカード産業はそれを上回る成長を保ちつつ、今尚、膨らみ続けているのです。
ここに目をつけ、ケータイ1台当たりの取扱高を上げようというわけです。

ドコモは、5000万人以上にケータイを持ってもらっており、クレジットサービスを持ってもらうには、いいポジションを持っています。また、これまでの通信料などの支払い状況もわかっており、与信に関しては有利な状況にあります。
著者が、著者らしいのは、単にクレジットサービスをドコモが提供して、生活を便利にするだけでなく、デザインでもあたらしくかっこよくなくてはならないというところです。今ある、コンシューマー金融サービスには、必ずしもブランド戦略があったり、かっこよさを追求しているようには見えないといいます。著者は、日本でのクレジットカードの利用率を上げるひとつの方策が、クレジットカードを使うことの楽しさやかっこよさにあるのではないかといいます。
そして、数年後には、ドコモは電話会社ではないと呼ばれていないかも知れないし、それが望ましいと考えています。

本書のほとんどは、よく考えるとドコモの戦略を書いているもので、一体、未来はどこに思っていたら、最後のほうに、著者が考えている未来が書いてありました。未来といっても20年先くらいの未来です。まず、形状がかなり変わった端末が登場しているといいます。著者が未来を想像すると機能より、形状の進化に興味を持っているとのことです。iモードを考えたときには、インターネットが普及していく中で、コミュニケーション機能と情報配信機能で生活が便利になることは予測できたことであり、今後も、ライフスタイルが大きく変わらない限り、機能も大きく変わらないと予測します。
著者の考えるケータイは、小さな画面でなく、バーチャルなスクリーンを投影して、それを見たり、キーボードもテンキーではなく、フルキーボードがバーチャルに現れてそれを操作するとかいうものです。
これも、12チャンネルのワールドビジネスサテライトのトレンドたまごに登場しているような話だと思いますが。

本書を読んで、ドコモの目指す方向はだいたいわかったような気がしますが、auは、ますますコンテンツを豊かにしているような気がしますし、ソフトバンクは、月額980円で、定額制になってきた通信料をもう一度従量制に戻すような動きがあるように見えるし、なかなか目がはずせない業界です。

ケータイの未来 Book ケータイの未来

著者:夏野 剛
販売元:ダイヤモンド社
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