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2007年2月 4日 (日)

RNAルネッサンス

「RNAルネッサンス」  田原総一朗・中村義一

DNAについては、たくさん本も出ているし、何かにつけて遺伝子の話はそこら中で聞きますが、RNAは影の存在であまり話しに聞きません。知っている人でも、RNAといえば、DNAの情報を運ぶだけの存在と思っていた人もいるかも知れません。
DNA解読競争では、世界に遅れをとってしまった日本ですが、RNAはまだ未知の部分が多く、日本にチャンスは残されているのです。
本書は、田原総一朗が、東大教授で、日本のRNA研究の第一人者である中村氏に聞いていく対談集です。

DNAはほぼ解明されてきて、人の遺伝子も寄生虫の一つである線虫もほぼ同じだとわかっています。でも、人と小さな線虫は同じ遺伝子数なのにどうして、こうも違うのでしょう。人はとっても複雑で、ものも考えますし、新しいものも作ります。DNAが変わらないとすれば何が違うのでしょうか。
DNAは同じでも、RNAに違いがあるのです。RNAはDNAとDNAをつなぐ通信網みたいなもので、人のRNAは下等動物に比べて相当発達した通信網の役割を果たしているのだそうです。人のRNAによる通信網はインターネットどころではなく、相当緻密に張り巡らされているのです。
下等動物の通信網というのは、電話線みたいなもので、どこかの家に電話すのにいちいち持ち上げてダイヤルを回して電話をする感じですが、これに対してインターネット的なものが人のゲノムで、どこかのウェブサイトに入って、そこからいろいろなところにアクセスできる、それから、たちどころに検索も出来る。情報ネットワークが発達しているということです。

通信網の正体がRNAだとわかってきて、多くの人の注目が集まってきているのです。
では、RNAの役割とは何なのでしょうか。その第一の役割は、まず遺伝子配列をコピーすることです。RNAはDNAから、たんぱく質を作るのに必要な「暗号」を写し取ります。この写し取るRNAはメッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれます。
次に役割は、たんぱく質を作る装置であること。その装置は大きなマシンですが、RNAをマシン建築の芯にしたり、柱にしたり、RNAという素材を使って、それを動かしています。つまり、たんぱく質の合成をRNAが行うわけです。
これまで、RNAの役割は以上だと思われ、RNAの98%くらいは、ジャンクRNAと呼ばれ、ガラクタ扱いされていました。
ジャンク以外の2%のRNAは実は線虫にあるんだけど、98%は人間しかないのです。
だから、本文の最初のほうで、ジャンクRNAがネットワークの要ではないかと考えたのが、中村先生だったのです。ジャンクといわれていたものが実は宝の山だったとわかり始めてきたのです。ここは、アメリカもヨーロッパもまったく手つかずなので、今こそ正体をはっきりさせるちょうど良い時期にあるのです。
RNAの解明が進めば、医療の世界にも影響が大きそうです。新薬の開発も出来る可能性が大きいのです。しかし、研究の予算を文部科学省に行って、要求するのですが、アメリカやヨーロッパが研究していないものにカネは出さないと言われるそうです。先進国が価値を認めてからでは、もう遅いのです。DNA研究のときもそうです。日本は、早くからイネのゲノム研究などから出発していましたが、ヒトゲノムではアメリカなどに抜かれてしまいました。日本は有用性が確認されるまで、カネは出さないというお役人らしさがいつまでも抜け切れません。また、薬品メーカーも、海外に比べると小さな会社ばかりで、研究開発に投資するカネはありません。
中村先生も東大になっていずに、アメリカやイギリスの大学に行けば、ノーベル賞を取れる研究ができるのでしょうに。

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著者:田原 総一朗,中村 義一
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