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2007年2月11日 (日)

下流喰い

「下流喰い」-消費者金融の実態- 須田慎一郎

アイフルの取立て問題や出資法の上限金利引き下げ、更に現状の格差問題を絡めて、実態をルポルタージュしています。
庶民階層の痛み具合を浮き彫りにする数字があります。05年の個人破産件数は18万4千人を上回り、十年前の住専処理に明け暮れた96年と比べると4倍以上の増加となっています。
消費者金融とは、貸金業規制法に基づいて無担保、無保証で融資するノンバンクのひとつで、一般にはサラ金と呼ばれている貸金業者をさします。
大手各社の業績も96年以降、毎年10%強の伸びを示し、アコム、武富士、アイフル、プロミスの現・大手4社とも営業収益は3500億円を超える。経常利益も最低ラインでも約700億円超、貸付残高は軒並み1兆5千億円を超え、合計すると約7兆円のボリュームになります。(06年3月期)
今や、消費者金融の市場規模は業界調べでざっと20兆円。消費者金融やクレジット各社が利用者に供与した金額を見てみると、住宅ローンを除いた学派03年の段階で約73兆円です。この73兆円という数字は、同年のGDP中に占める民間消費支出282兆円の4分の1です。いかに巨大なマーケットに成長したかがわかります。
一般にクレジットや消費者金融などの借金がかさみ、返済困難な状況に陥っている多重債務者の総数は、現在、推定で約356万人いると考えられています。
その中には、債鬼に追われて失踪したり、自殺に追い込まれたり、年利換算で2000%近い暴利を貪るヤミ金融の餌食となり、全てを奪われた挙句、行方知れずになっている・・・これも日本の現実です。

出資法の29.2%と金利規制法(100万円で15%)の間のグレーゾーン金利は最高裁の判例で認められず、国会でもグレーゾーン撤廃に動きました。
消費者金融会社やクレジット会社は、店舗廃止や人員削減でリストラをはかったり、消費者に返金を迫られた場合に備えて引き当て金を積んだりしています。
今後、貸し出し金利が下がることになりますが、消費者金融業者は、なぜ困っているのでしょう。

本書では、ビジネスモデルが悪魔的だからだと指摘しています。著者が以前、武富士に聞いたところ、年収1000万円の者がいきなり、50万円貸してくださいと来ても、断ることがあるとのことでした。収入が500万も600万もある人には、カネを貸さないそうです。せいぜい年収400万円まで。とくに、年収200万から300万の客が上顧客だそうです。上顧客というのは、子供がおり、住宅ローンもあり、家計のやりくりに困っていて恒常的に金欠状態にある人らしいです。こういう人は、業者としては長いお付き合いが期待でき、金利だけを払い続けるような優良顧客となるのだそうです。大手消費者金融5社の調査(02年度)によれば、新規顧客の71.9%が男性で、年代別構成は30歳未満が44.1%、次に30歳以上40歳未満が23%となっています。年収も新規顧客の81.2%が500万円未満となっています。

大手消費者金融でもトラブルを起こして新聞沙汰になりますが、こわいのは、ヤミ金融です。昔は、貸金業登録の有無が見分けに使われましたが、今はもうそんな時代ではなくなったといいます。神田や新橋周辺の捨て看板やサンドイッチマンが宣伝する携帯電話だけを広告しているような金融やは「090金融」と呼ばれています。このほかにも、債務者が所有する自動車や家具をいったん買い取った形をとった「リース金融」、キャッシング枠だけでなく、カードの利用枠を使って金券やブランド品を購入させ、それを故買商に売って現金化させる「金券金融」「チケット金融」も良く知られているヤミ金です。
やみ金にとって貸付そのものは単なる入り口にすぎず、大事なのは回収であり、そこに意味があるとされます。要は、貸付金利を増やしさえすれば、貸付額が事実上、増やしたことに等しく、回収額はいくらでも増やしていけるといいます。最初に借りた10万円が気がつけば300万円になっている。債務者としては実に不思議なのだが、その無理を厚顔と恫喝で押し通すのがやみ金なのです。
特に、現在では、大手とヤミ金の2極分化が進んでいるようです。特にタチの悪いヤミ金は、携帯と銀行口座を用意して、まさにオレオレ詐欺と同じです。また、自己破産した人を官報から名簿化して、その名簿を売る輩もおり、破産者に金を貸すヤミ金もいるそうです。破産者に無理やりカネを振り込み、それを使ってしまうと、勤務先や親戚、知人にむちゃくちゃな催促、恫喝が行われます。

貸出金利が下がると、メガバンクの傘下になる大手サラ金と暗躍振りで注目を集めるヤミ金に2極化が進むのではないかと著者は心配します。たぶん、中小の貸金業者の経営は成り立たないだろうと。

最後に、著者のするどい言葉を紹介します。テレビでは大手消費者金融がアリバイ工作的に「ご利用は計画的に」といっているが、むしろ「貸し出しは計画的に」と業界内部に徹底させることだと。

下流喰い―消費者金融の実態 Book 下流喰い―消費者金融の実態

著者:須田 慎一郎
販売元:筑摩書房
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