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2007年2月25日 (日)

人間を考える経済学

「人間を考える経済学」  正村公宏

自然科学は、宇宙科学から生命学などとつながりが深くなってきて、また、ギリシャ時代のように哲学のようになってきていると私は感じています。本書を読めば、経済学においても人間の本質やサステナビリティを考える時代になってきて、哲学的になってきたと思います。というより、哲学なくして経済学も成り立たなくなってきていると思います。
著者は、あらためて経済学の基礎石の置き方を根底から検討しなおしてみようと考えて書いたといっています。
社会のあり方は経済のあり方に影響を与え、経済のあり方は社会のあり方に影響を与える。とくに経済は、人間が生まれて育つ環境(自然と社会と文化の組み合わせ)を大きく変化させることによって、将来の社会のあり方に決定的な影響を与える。それは、次の時代の経済のあり方を強く規定し、人間が生まれて育つ環境を更に変化させる。
著者は、現代社会が解決しなければならない問題をあきらかにし、選択されるべき制度と政策を提案することは、経済を研究する人間の責任であるといいます。本書のタイトルも「人間を考える・・・」であり、副題も「持続可能な社会を作る」とあるとおり、著者の経済学に対する考え方が現れています。

経済体制においては、資本主義が社会主義に勝ったというのは軽薄だといいます。経済の自由は、効率への誘因を刺激する基礎条件であると同時に、政治と社会と文化の自由の基盤である。しかし、市場機構は万能ではない、市場経済は重大な欠陥を持つ。マクロの目的意識にもとづく適切な方法による制御が不可欠であると。20世紀の経験は、自由放任型の市場経済は返って自由な社会の基盤を破壊すること、分配の公正と生活の安定を目指す改革こそが経済を安定させると同時に社会の統合を強める効果を持つことを示している。
経済学者は、現実が提起するさまざまな問題を的確に受け止める鋭敏な感覚、さまざまな制度の組み合わせを絶えず見直す知恵、マクロの主体である政府の政策の有効性を高めるねばり強い努力が必要だと。

サッチャーの経済改革の理論的支柱となったハイエクの経済理論ですが、ハイエクの「隷従への道」の中で、「市場経済に全てを委ねるべきだという自由放任の主張は誤りである。自由主義者の硬直した自由放任論は返って自由主義を傷つけた」と書いているそうです。
私は、勉強不足でハイエクこそ、英米の自由主義経済の支えであり、シカゴ学派の祖であったくらいにしか思っていなかったのですが、自由といっても放任ではいけないと言っていたのを知りませんでした。

著者は、経済への人間の関わり方を変え、文明のあり方を考える必要があるといいます。
地球規模の構造変動によって経済の不安定性が増幅されているだけに、マクロ経済政策の信頼性を高め、就業機会を保障する取り組みが不可欠であると。単なる規制緩和によって競争圧力を強め、価格破壊を推進すればあとは何とかなると考えてはいけないと、暗に英米や日本の経済政策を批判しています。
特に日本人の働き方を変える必要性を説きます。持続可能性を考えると、日本人の働き方は、働く人自身にとっても、家族にとっても問題です。日本の給与生活者の暮らし方は、家族の機能を低下させる作用をしてきた。生活時間と生活空間を作りかえ、子供の生活環境を作りかえることは、日本の最優先課題である。著者は、そのためには、糸口として労働基準法を変える必要があるといいます。
本当の国際競争力とは、ミクロで考えれば変化に対応する人間の能力であるが、マクロで考えれば、経済力を国民の生活の安定と向上のために系統的に使う知恵である。政府の経済政策と社会政策に不備があれば、ミクロが強くても、マクロの不均衡が拡大し、外国為替市場における自国通貨が急騰して、産業の競争力が一気に失われる。生活の質の改善を目指す共同事業を強化し、国内の総需要と総供給力の不均衡の是正をしなければならない。本当の国際競争力は、内外の諸条件の変動に対応する能力である。産業の活力の基礎は、社会の活力である。社会の活力を再生産するために、日本人の働き方を変え、多様な働き方を可能にする経済制度と経済構造を作り上げる必要がある。

本書は、単に経済書というだけでなく、一般人には、世界史の全体像を勉強しながら、経済の歴史を確認できたり、経済体制の勉強できたり、文明論があったりと、経済学の基礎をもう一度勉強できる書です。
一気に読める面白い本です。久々の5☆です。

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著者:正村 公宏
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