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2007年2月17日 (土)

中国 大国の虚実

「中国 大陸の虚実」  日本経済新聞社編

昨年、中国は自動車保有台数で日本を抜き去り、米国に次ぐ世界第2位となりました。新聞で見たときはここまで来たかという感じでした。
最近の中国事情を日経が本書にコンパクトにまとめてくれています。

2004年、中国は貿易総額でも日本を抜き去り世界第3位に浮上しています。05年のGDPは、一気にフランスと英国を抜き去り、世界4位の経済大国となっています。中国を訪れたビジネスマンは、「中国と付き合わないことが今や最大のリスク」と語るようになっています。
90年代半ばまで、自転車が一般庶民の足だった国とは見違えるばかりです。
ここ数年のもっとも大きな変化は中国が完全に国際経済の一部に組み込まれたことです。世界の貿易総額に占める中国の比率は5年間で2倍近い7%近くに上昇しました。中国のGDPに占める貿易総額の比率は63%。日本の24%、米国の20%を大きく上回ります。中国自体も世界経済との関係を絶っては成り立たなくなっています。
しかし、単なる「中国経済の躍進」だけでは片づけられません。エネルギー消費効率の低い老朽設備を使って経済使って経済活動を拡大した結果が、原油輸入の急増であり、世界の石油需給の逼迫や大量の排出物による環境汚染といった問題も引き起こしている。環境破壊は東アジアの地域的規模で生態系に影響を与えているともされます。
越前くらげの漁業被害もそうですよね。

中国のエネルギー戦略はすごいものがあります。06年春の段階で、すでに35カ国のエネルギー権益に投資しています。06年からの5カ年計画で、海外の石油会社の買収などエネルギー分野に毎年7千億元を投じる計画だ。
米国エネルギー省がまとめた世界のエネルギー消費の予測によると、2030年の中国の石油消費量は日量1500万バレルと、03年実績の2.7倍に増える見通しです。
世界のエネルギーをブラックホールのように呑み込む中国。それでも需要を満たしきれていません。重慶のタクシー向けのガス充填所では、割り当てを絞っており、ガス欠のタクシーが充填待ちの行列を作っているようです。

エネルギー戦略には、米国が相当いらついてます。米国と仲が悪い国や制裁をしている国とエネルギー協力を取り付けたり、アフリカなど第3世界の国々を取り込もうと動いています。アメリカも負けじと、インドと協力関係を深め、インドへの原子力発電開発の協力から、F16やF18戦闘機の貸与、ミサイル防衛システムの協議も初め、中国を牽制しています。

また、中国には各国が工場を建設しています。日本や欧米はもちろんですが、04年の直接投資で日本や米国を抜いてトップに立ったのは韓国です。日本は逆に、国内景気の回復や最先端のものづくりを目指すために日本回帰が行われ、キャノンやシャープは国内に工場を建設しています。また、中国の労働力や土地代などのコスト上昇を嫌い、ベトナムやインドに進出する企業も多くなってきています。しかし、巨大市場という中国の魅力は衰えたわけではありません。新興国は物流や電気、通信網などインフラ整備の面では中国に見劣りしますし、中国戦略が企業の命運を左右する時代になったことには変わりはないでしょう。

世界の工場となっている中国ですが、世界の下請けや世界規格のものを作っているのでは、儲かりません。DVDプレイヤーなどを生産しても特許料を相当払わなければならず、中国では独自規格を作ろうとしています。06年5月には、「永中オフィス2007」というソフトを開発し、マイクロソフトと闘おうとしています。また、次世代DVD規格でも、EVDという規格を作ってきました。BDやHD-DVDより質は悪いものの、自国の大きな市場を押さえれば、チャイナスタンダードとして、世界も認めざるを得ないと考えています。

13億も人口を抱える中国の消費者を見てみましょう。貧乏人もたくさんいますが、一部が金持ちになっただけでも、モノは飛ぶように売れていきます。高額テレビや自動車が売れ、消費社会が本格的な姿を現してきています。ベンツやベントレーなど何台も揃える一部の購買力を持つものも出てきましたが、それより裾野の広い消費社会の申し子のような層が厚くなってきています。この層が中国消費の本当の主役です。給料をもらったらその月のうちに全部使い切ってしまう層の登場です。それもそこそこの給料を手にしながら、電話代や服や化粧品、友達との外食にと使います。このような若者を「月光族」と呼びます。この場合の「光」は中国語で「何も残っていない」という意味です。
ブランド衣料の「百図」や資生堂の「オプレ」が好みのOLが多いのですが、男性も同様です。彼らの消費の原動力は将来に何の危機感も持っていないことのようです。月光族の特徴は「自分の未来に自信があり、社会の中で比較的高い評価を受けたいと願っている。モノを買うときに必要かどうかではなく、自分の趣味にあっているかどうかを考える」といいます。大多数が月光族ではありませんが、月光族は中国人の憧れだそうです。
モノが溢れかえってきることと、一人っ子政策がとられて以降に育った世代なので、お金をかけられて育っており、消費生活がしっかりと身についてしまっているのでしょう。

また、新中間層を表す言葉として「小康族」というものがあります。胡錦濤国家主席がよく使う言葉で、やや裕福でまずまずの経済状態を意味します。ダブルインカムで自家用車で通勤し、お昼はセブンイレブンのおにぎりの新製品やお菓子を買って同僚と自慢しあうのだそうです。セブンは中国ではあまり数はないそうですが、価格は少し高めでも、そこにしかないものを買うことを求める人が多いようです。

消費社会とは別に、中国は軍事面でもプレゼンスを発揮しており、01年から05年の兵器購入料は世界最大だそうです。

米国、EU、日本に次ぐ、世界の第4極としての存在になったというこです。

中国に興味をもたれている方は、ジョージ秋山の「マンガ中国入門」は面白いですよ。中国の食肉文化や、売春婦が世界一多いとか、一般では読めないような話がてんこ盛りです。そちらも是非読んでみてください。

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