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2007年2月18日 (日)

10年後の日本

「10年後の日本」  「日本の論点」編集部編

2005年にヒットした本ですが、少し経ってから見てみました。1年少し前の予測ですから、大きな変更点はありません。自由競争が2極化を生み、勝ち組、負け組みに分かれるだけでなく、団塊の世代にも裕福な層と、不安な老後を送る層に2極化すると予想しています。
本書では、バブル崩壊後、幅広い分野で規制が緩和され、市場原理による「自由な競争」が激化したから、2極化が起こったとします。この辺は、2極化の理由について見解が分かれるところでしょう。
最近の考え方の傾向としては、バブルまでの経済体制が通用しなくなり、新興国の台頭してきた時代においては、古い経済では、非効率で、既得権者を保護してきた結果として、景気が悪くなり、結果として2極化してきたとも言われています。したがって、2極化をしないようにするためには、規制緩和とイノベーションによって経済の活性化を行うことによって、機会の平等や、効率化やイノベーションによる経済的成果を結果として多くの人々が分け合っていこうというものです。
本書では、やはり2005年の雰囲気が感じられます。
ただ、本書でも触れられていますが、フリーター層の問題は現在でも同様に存在しています。景気回復してきて、新卒の採用は増えているとはいえ、非正規雇用であるフリーターとなった年代については、このままでは日本経済の底辺を占めてしまい大きな問題となるでしょう。この辺りも、経済成長により、雇用のあり方を変革して行き、正規雇用に変えるなり、同一労働同一賃金にするなりする必要があるでしょう。
ただ、団塊の世代の2極化は深刻な問題かも知れません。悠々自適を謳歌するのは一握りの富裕層でしょう。この一部の富裕層のマーケットは重要ですが、そうでない人たちは厳しい。会社が必要と認めた人は、退職後に再契約などの道がありますが、会社から声がかからない人も多く、団塊の世代が700万人の規模でもあり、働き口の受け皿問題も大きくなるかも知れません。本書では相当心配していますが、これも経済成長があれば、貴重な労働力となるかも知れません。
労働問題としては、バブル入社組みを第2の団塊と呼び、大量採用された社員が社内で不良債権化するのではと心配しています。事実、成果主義の名のもとに淘汰が始まっているようです。無理なノルマや慣れない部署への配置転換で成績が上がらないようにして退職を迫るケースも増えています。

世代としては、70年代後半から80年代にかけて誕生し、両親とも戦後生まれのY世代に注目しています。Y世代は、経済成長を全く知らずに育った世代であり、バブル世代と違って、物質欲はさほど強くない層です。学歴信仰も崩壊した世代ですが、自分らしさを求め、文字文化に強かったりで、日本の新たな文化の担い手になるのではないかとのことです。10年後には、オタク文化に変わり、Y世代の文化が生まれているのではないかというのです。

10年後の数字を見ると、東京の人口がピークになるそうです。日本の人口が減少する中で、東京への一極集中化が進みます。2030年には日本の総人口は、2000年に比べ7.4%減少するのに、東京は0.7%増加、神奈川は1.6%増加すると予測されています。ただ、都心への一極集中は、老人層も都心に住むことになり、都心での老人ホームの需要も大きくなります。既に、有料老人ホームの建設ラッシュが始まっています。

本書はこのほかにも、環境問題や、長期金利が上がる問題なども取り上げています。
古本でも買って、さらっと読んでみるにはいい本かも知れません。

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