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2007年3月25日 (日)

これから何が起こるのか

「これから何が起こるのか」  田坂広志

先ず、言います。これは読むべき本です。田坂氏の本は、どれもいつも時代を正確に捉えていると思います。本書もIT革命やウェブ2.0革命によって世の中がどう変わり、我々はどう生きるのかを教えてくれます。
ウェブ2.0などのキャッチフレーズに踊らされず、その本質を説いていきます。

「情報革命」とは、「情報技術」の革命ではありません。「情報革命」とは「情報のあり方」の革命のことです。ウェブ2.0革命といわれているものは、先ず、情報革命を大きく進化させていきます。そして、その情報革命の進化は、次いで、「市場」「消費者」「企業」「ビジネス」「商品」「サービス」「戦略」「マネジメント」「知識」「資本」など「資本主義の基本要素」と呼ばれているものを、それぞれ進化させます。
しかも、資本主義が変わるだけでなく、「政治」「社会」「経済」「文化」のあり方そのものを根本的に変えていきます。
その結果、我々の「働き方」と「生き方」が変わります・

情報革命の本質とは何でしょうか。それは情報主権の移行のことです。それはこれまで世の中で「情報の主導権」を持たなかった「情報弱者」がその主導権を手にする「権力の移行」が起こっているのです。

ネット革命は社会の隅々で3つの革命を起こしています。
第1は、情報バリアフリー革命。これまで世の中に存在した様々な「情報のバリア」が壊され、誰でも手軽に、欲しい情報を入手できるようになる革命です。
第2は、草の根メディア革命。世の中には草の根メディアと呼ぶべきものが数多く生まれ、誰でも手軽に自分のメッセージを発信できるようになっていく革命です。(このブログもそのひとつでしょうか)
第3はナレッジ共有革命です。単なるデータのレベルの情報だけでなく、高度な「ナレッジ」(知識)レベルの情報が多くの人々の共有できるようになっていく革命です。

また、2000年頃から始まったブロードバンド革命はいかなる革命だったのでしょうか。それは3つの壁を打ち破りました。
上記で書いた3つの革命には大きな壁が存在していました、それをブロードバンド革命が打ち破ったのです。
第1が通信料金の壁です。常時接続と定額料金が当たり前になった今としてはわかりやすいでしょう。
第2が機器操作の壁です。ブロードバンド革命とともに普及した携帯電話やPDAなどの携帯端末が機器操作の壁を打ち壊しました。今やケータイからインターネットに接続するぞという意識は無いでしょう。
第3は文字情報の壁です。ナローバンドの時代は文字情報しか共有できませんでしたが、写真や画像などの情報はデータが重いため、自由に共有はできませんでしたが、今や、音楽や映像まで共有できています。
これらによって、ウェブ2.0革命への道が切り拓かれました。

では、ウェブ2.0革命は何をもたらすのでしょう。
まず、「衆知創発」への革命と進化しています。誰でも多くの人々の知恵を集め、新たな知恵の創発を促すことができるようになります。これには集合知への信頼があります。一人の専門家の知識より多くの人々の知恵を集める方が正しい答えに到達できるという考えです。昔から衆知を集めるという方法は誰もが納得する方法であったことは確かでしたが、その手段がウェブ2.0によって提供されたことになります。
また、ウェブ2.0革命は、主客融合の革命へと進化します。主客融合とは、生産者と消費者、企業と顧客、情報発信者と受信者が一体化し融合し区別がつかなくなっていくことです。草の根メディアが単なる情報発信から協働作業へと深まっていくからです。アルビン・トフラーが言っていたプロシューマ型開発が明確なビジネスモデルと進化してきました。
さらに、生産者主導から消費者主導へ、消費者中心への開発に変わって来ています。

さて、ナレッジ共有革命はウェブ2.0によってどう変化するのでしょう。
感性共有の革命へと進化しています。ウェブ2.0は単に数字や文字だけでなく、音声や音響、音楽、写真や映像、映画など感覚や感性に直接的に働きかける情報を簡単に共有できるようになります。ユー・チューブなどがいい例でしょう。著名な専門化ではなく、草の根の人々が表現者なのです。革命と呼ばれるのは、表現行為が無名な人々によって行われるようになっていることです。

ネット革命やウェブ2.0革命はアメリカ主導のように思えますが、世界の情報革命の主導権を握っていくのは日本だといいます。その鍵は「ユビキタス革命」です。ユビキタスも情報主権の革命です。
第1は、個人のユビキタス化です。最も身近な例がケータイです。電話帳、電子手帳、電子辞書、電子メール、電子マネー、クレジットカード、会員カード、音楽プレイヤー、GPS、バーコードリーダーなどマルチ情報端末になっています。
第2は商品のユビキタス化です、ICタグやQRコードで商品情報などが手に入るようになりました。
第3は、空間のユビキタス化です。その空間の中にいる人物の持つICカードやICタグなどと対話し、情報交換やサービス提供が行われます。
日本というのはユビキタス革命の中核的技術となる「携帯電話」「自動車」「家電」「ICタグ」においても世界をリードする技術力を持っているのです。それ以上に、ユビキタスに不可欠な「深い配慮」や「細やかな心配り」といった点でも世界に誇る文化力を持っているのです。

企業にとってはどんな戦略が必要になってくるのでしょうか。良い商品を作ることより、商品生態系の進化を意図的に作り出すことです。ベータがVHSに敗れた、マックがウィンドウズに破れたのは技術が劣っていたわけではありません。商品単品より、商品の生態系の作り方で負けたのです。現在iーPodは商品生態系をうまく作り出せたことで勝利を納めています。
ネットを使って商品の生態系を作り出す上で、重要な場があります。ネットの中の顧客の声が集まる場です。それらは企業のサイトやポータルサイトなど目に見えやすい場ですが、新たに目に見えにくいが影響力の強い場が現れています。それは「ブログスフィア」です。これはブログ圏と呼ばれるもので、無数の個人がトラバやコメントで結びついているものです。
企業は、目に見えない顧客コミュニティーに耳を傾ける必要があります。ブログウォッチングをすることです。これらは従来のアンケートやインタビューに比べて、バイアスのかからない正直な声が聞けるはずです。企業は、これらブログにより深く、耳を傾け、より立体的に顧客の姿を見る必要があります。

本書は、他にもマネジメントあり方の変化や、知識に対する変化、そして最後に、ウェブ2.0革命が、資本主義を日本型資本主義へと回帰させていく話がわかりやすく述べられています。

田坂氏の本はこれまでにも何冊か読んでいますが、時代を洞察する力が鋭く、本書も手元において、今を働く中で読み返してみたい本のひとつです。

これから何が起こるのか Book これから何が起こるのか

著者:田坂 広志
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