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2007年3月11日 (日)

日本のポップパワー

「日本のポップパワー」 中村伊知哉・小野打恵

高度な工業化社会を遂げ、失われた10年を過ごした日本であり、さらに、今やBRICsの成長によって、日本の成長を支える構造が変わっています。
著者は、産業「文化力」が新時代を切り開くといいます。
経済の新時代を切り開くには、技術にも制度にもイノベーションが不可欠です。しかし、これまでの技術、これまでの制度をいくらつないでみてもイノベーションというほどのものにならない。時代を引っ張るエンジンが必要です。
そこで中心問題は、コンピュータや通信網の供給面ではなく、産業社会の各場面でITをどう活用するかである。私たちの生活様式の総体、つまり「文化」が主題になる。その意味ではこれから求められるのは産業文化のビジョンにほかならない。
従来、産業文化の議論は、文化を高級文化と大衆文化に区別していましたし、文化の名に値するのは高級文化だけという意識があったように思います。しかし、現在では、そもそもそれらを区別が消滅しているようです。

経済産業省によると、世界のテレビアニメの60%が日本製で、アメリカのキャラクター商品を含む日本のアニメ関連市場は、2002年に約43.6億ドル、2004年には48.4億ドルに達したという。
「ポケモン」は世界67ヶ国と2地域、「クレヨンしんちゃん」は世界46ヶ国で放映されている。2004年、日本のゲームソフトの約半分が海外に出荷され輸出額は2326億円、輸入額は30億円で、実に80倍となっている。ゲーム機とソフトを合わせた世界への輸出額は5644億円に達します。

日本の文化的な影響力は静かに成長してきています。ポップミュージックから家電まで、建築からファッションまで、そしてアニメから料理まで、日本が80年代の経済パワーが成し遂げた以上の文化的スーパーパワーを示しています。アジアでも欧米でも、日本は若い世代にとって一種の憧れだ。この状況は、テレビゲームが浸透し、日本のアニメが高視聴率を稼ぐようになった90年代、日本が自らを「失われた10年」と呼ぶ期間にもたらされたものです。
日本がポップでクールと呼ばれる状況は、バーチャルなメディア空間に広がるエンターテイメントの世界だけでない。家ではロボット・ペットを飼う。外では写真やビデオをケータイで撮る。回転寿司を食べてカラオケで騒ぐ。アルコールもヌードルも自動販売機で買え、帰るのがいやならマンガ喫茶なりラブホテルに行く。そうした空間のデザインやライフスタイルもまた日本の特異な姿として海外に紹介されている。
もちろん若者は和製文化に閉じているわけではない。同時に彼らはGAPとナイキをまとい、HipHopを聴きながら、スタバで待ち合わせし、グーグルとウィンドウズとインテルでネットにアクセスし、最新のハリウッド映画をチェックし、ディズニーランドに出かけていく。日本の流行文化は、こうした西洋文化と違和感なく混在しながら、それとは別種の形としてポップな存在感を示している。
著者は、将来の歴史書には、90年代は産業が停滞した10年というより、海外に文化進出を遂げた10年、にこやかな顔を見せた10年、そして新しい軸を生んだ10年として刻まれるだろうといいます。

マンガ、アニメ、ゲームや、キャラクター商品、テーマパーク、アミューズメントパーク、コンサート・お笑い・スポーツ観戦に、パチンコやパチスロを加えると、直接ポップカルチャーといえる市場は36兆円にも上り、メディアコンテンツや、コミュニケーション、広告、印刷など強く波及効果を及ぼす分野を加えると100兆円以上の市場といえます。景気対策に使われる土木・建設の分野ですら51兆9千億円の規模を考えると日本のポップカルチャーの大きさがわかります。ちなみに食品産業は100兆円です。

昨年は、邦画収入が洋画収入を上回りましたが、世界のコンテンツ産業全体でみるとアメリカに比べると圧倒的に低い。その中にあってマンガやアニメは圧倒的な力を持っている。アメリカでの日本のアニメ市場規模は43.6億ドル(2002年)は、日本からの鉄鋼製品輸入の3.2倍になっている。
日本は、また新たな超大国として再生しつつあるとの見方も海外にはあります。日本のグローバルな文化的勢力は衰えを知らないといいます。
確かに、海外でのすしブーム、マンガブームなどを見ていると、新たな潮流を感じると思います。
反日運動の高い中国でさえ、ジャパンクールが影響を及ぼしています。先般でも日本のマンガの放映をゴールデンタイムから締め出す措置がとられたくらいですから。中国では共産党政権下で、漢字の簡体字の普及が進みましたが、日本のポップカルチャーが入ってくるに従い、日本で使われている旧字体をポップと感じているようです。旧字体だけでなく、ひらがなもポップだと思われているそうです。

海外で注目されている日本のポップ文化ですが、文化政策のスタンスを構築する段階にきているのでしょう。
通信と放送の融合政策、ポップへの選択と集中、人材育成策などを考え、日本の主流文化として、正当に評価する必要があるようです。

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