「子どものうつ」に気づけない!
![]() | 「子どものうつ」に気づけない!―医者だから言えること親にしかできないこと 著者:傳田 健三 |
1.子どものうつはどんな病気なのか
中核症状としては7つ
身体症状
①
睡眠障害(途中で目が覚める、朝早く目が覚める。ときに過眠)
寝つきは比較的よいが、途中覚醒や朝早く目が覚めるが、それでいて朝はなかなか起きられない。
②食欲障害(食欲がない。体重減少)
食欲が低下し、成長期にもかかわらず、体重が減少する。
③日内変動(朝の調子が悪く、夕方から楽になる)
朝の調子が悪くて起床することができず、昼ごろまで布団の中でゴロゴロして起き出せない。夕方から夜にかけていくぶん楽になる。夜には、テレビのお笑い番組を見ながら笑っていたりできる。
④身体のだるさ(身体が重く、疲れやすい)
特に運動をしているわけでもないのに、疲れやすく身体のだるさを訴える。
精神症状
⑤興味・関心の喪失(好きなことが楽しめない)
⑥意欲・気力の減退(気力が出ず、何事もおっくう)
⑦集中力の低下(集中できず、頭が働かない)
2次症状として、無力感、劣等感、自責感、罪悪感、自信喪失など
上記の中でも、睡眠障害と食欲障害には特に注意。睡眠と食欲は人間が生きていく上で最も基本的な機能である。(うつは精神というより、身体の病気と考えた方がよいかも)
うつには、きっかけがある。嫌なことだけでなく、願っていた事態になってもうつになる。むしろ環境の変化があったときにうつになりやすい。環境の変化があったとき、人間は頑張り過ぎてしまうことが多い。皆から期待される状況になったりすると、まじめで責任感の強い人は、ついオーバーワークになってしまうもの。
2.子どもへの対応
①両親で何度もじっくり話し合う。
②適度な反省は必要だが、必要以上に自分たちを責めない。原因をしすぎない。
③これから何をすべきかを考える。
④誰かに相談する。一人であるいは両親でのみ問題を抱え込まない。
⑤相談機関の医師、カウンセラー、相談員などと信頼関係を築き、情報を交換し合って、協力していく。父親もできる限り相談機関に行く。
⑥子供の立場になって考える。
(大人の立場で環境を変えようとし、大人としてできることを考えてしまう。また、大人になると子ども時代のことをすっかり忘れてしまうのかも知れない。一度考え方をすっかり変えて、今子どもはどんな気持ちなのか、なぜ子どもはそのような行動をとってしまうのかを、子どもの立場で考えよう)
⑦子どものよいところ、プラスの側面を見る。子どもが現在できている部分を評価する。
(子どものよいところ、症状や問題行動のプラスの側面に焦点をあててみる。学校に通っていなくても、自分の好きなことができているのであれば、自分がこれから本当にしたいことを探しているのだと考えて少し見守ってあげましょう。)
⑧子どもが思春期に達したら、これまでの対応を改め、一人の人格として尊重する。
⑨最終的には、自分たち両親が対応し、自分たちが支え、自分たちが状況を変え、自分たちが変わっていくしかないのだと腹をくくる。自分たちがキーパーソンであると認識する。
⑩すべてを一気に変えることは考えない。小さな変化を大事にする。今、ここからできることから始める。
【親子の合い言葉】
(1)3つの「あ」
「あせらず」「あわてず」「あきらめず」
少し良くなったからといって、あせってはいけない。はやる気持ちを気持を抑えて、自分のペースをつかむまでじっくりかまえ、完璧にやろうとしないこと。そして、自分のできることから少しずつはじめて、決してあきらめないこと。
(2)「今、ここから、できることから始めよう」
一度歯車が狂い始めると、なかなかもとの状態に回復させることは困難。不登校などを一気に解決はでいない。
また、物事を完璧にこなさなければ気が済まない性格の人や几帳面な人は、どうせやり直すのであれば初めから完璧にやりたいと願うもの。しかし、長く不登校が続いている人が突然登校できるようになり、朝から夕方まで教室で授業を受けられるようになることは残念ながらめったにない。完璧にやろうと思えば思うほど、完璧にやる自信がなくなり、結局すべてをあきらめてしまうという悪循環に陥ってしまう。
そのようなとき、とりあえず身の回りのできることから始めてみることです。
(3)「ジャマイカ」療法
こころの病気が快復したとき、皆さんが同じように言う言葉があります。「まっ、いいか」と思えるようになったということです。
これまでなんでも完璧にやらなければならない人が疲れ果て疲労困憊になって精神科を受診し、治療の中で回復と再発を繰り返しながら、少しずつ自分が見えてきて現実に気づくようになってきます。そんあときに、「まっ、いいか」とふと思うのだと言います。
これは、決して否定的な考え方ではありません。勉強も仕事も自分ができる範囲でやるしかありません。すべてを自分だけで背負いこもうとしても限界があります。世の中に完璧ということはありません。自分のできることをできる範囲で着実にこなしていこう―そう考えられるということは、現実にきちんと向き合い、乗り越える準備ができたということなのです。
「ジャマイカ」「ジャマイカ」「じゃまいか」「じゃ、まいーか」「じゃ、まっ、いいか」。これを「ジャマイカ療法」と呼ぶのです。
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